去年の末に、創作活動の総括をするためにブログを立ち上げたんですが、他に記事を一切書かないまま一年が過ぎてしまいました。おかしいな……一年早すぎない……?
今年も創作TALKさんの企画をTwitterでお見かけしたので、参加させて頂きます。なお、2019年の総括記事はこちらです。
| わたしのこと
はじめましての方もいらっしゃるかもしれないので。
オノイチカという名前で、主に幻想を含んだ小説を執筆しています。
| 2020年の創作ふりかえり
■長編「サルタリスの小鳥たち」の執筆
2019年の10月くらいから書き始めた長編が、今年の9月に完成しました! 執筆を終えた時点で約15万字あったんですが、そこから推敲して、約14万4千字になりました。
自分で世界観を創造して長編を書くのは初めての体験だったのですが、苦しいながらも楽しくて、とてもいい勉強になりました。特に、これだけ長いお話を組み立てて、エンドマークをきちんとつけられたという経験が、これからも執筆し続ける上での自信に繋がりそうで、嬉しいです。
この作品は公募にも応募しました。公募の枚数規定が上限400字詰め原稿用紙400枚で、ざっくり計算して上限16万字、推敲後に14万字とすこしなら大丈夫だろう……と思っていたんですが、実際原稿用紙に移した時に30枚以上オーバーしてしまって、嫌な汗をかきながら削りました……矛盾なく削れて良かった……。
公募用に直した原稿は、約13万9千字になりました。これで原稿用紙換算396枚です。これから公募に出す作品を書かれる方は、どうか気を付けて……。
狩人(サルタリス)と呼ばれる少年少女たちが、禁忌の森のなかにある箱庭で暮らし、魔物と呼ばれる異形と戦うなかで、祈りや真実に触れ、欠けていたものを取り戻すダークファンタジーです。現在カクヨムで全文公開していますが、公募の規定上、2021年1月10日までの公開となります。
■二次創作中編「Carpe diem」の執筆
「亡国の光」というゲームを作る友人の誕生日祝いに送った、二次創作小説です。約4万3千字。
初見の方でも読めるように書いていますが、サムネイルを見て分かるように糖度高めで大人向けなので、肉体関係のあるおにロリが地雷の方はご注意ください……。
「サルタリスの小鳥たち」の執筆の息抜きも兼ねて、大好きな作品の大好きなCPの話を書いたんですが、とても楽しかったです。当該友人にも喜んでもらえてよかった。
この作品は内々向けの上に大人向けだったので、投稿先に悩みました。結局特設サイトをつくって投稿したのですが、図らずともスマホで読みやすいフォント(本と違って明朝よりゴシックが読みやすい)やページデザイン(文字と下地の色のコントラストが激しいと目が疲れる)などについて学べて良かったです。
■その他掌編
思うところがあって個人サイトには格納していないのですが、Twitterの企画で約3000字の掌編を2本執筆しました。
ざっくりと計算すると、2020年は約15万字ほど執筆しています。
| 2021年の目標
創作活動を通じて知り合った友人3人と、印刷会社の体験談をまとめた合同誌を出します。私は表紙イラストとデザイン、各ページのテンプレートデザインを担当していて、本文では4Pの漫画を描きます。2月のコミティア合わせで出る予定なので、とりあえず一番はっきりとした目標は、この本を完成させることです。
小説は「オフィーリアに捧ぐ夜宴」という仮タイトルで構想を練っています。同じ名前を持つ少女たちの、欲と悪徳をめぐる連作短編集。ただ私生活がしばらくあわただしくなるので、いつ着手して完成させるかといった予定が立っていません。今は中国地方にいるのですが、年末に関東に帰り、年明けしばらくして東北に引っ越す予定なので……。
2021年内に書き上げられたらいいなというふわっとした目標になりますが、落ち着いたらコツコツ執筆頑張ります。
| 創作とコロナウイルス
今回はオプションテーマがあるので、それにも触れさせてもらいます。最後まで書いてからここに戻って書き足してるんですが、以降は今考えていることを書きとめている長い雑記です。これが最後の項目なので、もういいかなと思った方は読み飛ばして下さい。
マスク作りがはかどった春でした。もともと手芸や裁縫のたぐいは苦手だったんですが、ミシンの糸通しから母に習って、自分や家族や友達のマスクをたくさん作りました。
……というのも、非常事態宣言が出た前後は、ほとんど創作ができなかったからです。
「鬱な時ほど創作が捗る」という言葉をたまに耳にするんですが、私の場合は真逆で、心が元気じゃないと創作ができません。コロナが最初に流行った春、かなりのストレスを感じてしまったらしく、腹痛、食欲不振といった不調の症状が次々と身体に出ました。不調がさらに落ち込みを加速させるのは分かっていたので、創作をして気を紛らわせようと筆をとってみても、いまひとつ自身で納得のいくものが書けず、書いていて楽しくない。
どうしたものかなとTwitterをぼんやり眺めていた時、私の目に飛び込んできたのは、コミティアが中止になっても新刊を作って、通販やエアコミティアやテキレボで作った本を販売する、創作者さんたちのすがたでした。
もともと一次創作の同人誌を読むのは好きでした。けれど特に今年の春は、一般書籍よりも多くの同人誌を読んで楽しませてもらいました。
上の写真の同人誌は、関西のイベントに出展されていた、一次小説書きの同人作家さんの手製本です。短編小説をwebで拝読して、webには載せていない同人誌の小説も読みたいと思い、ファンレターとあわせて、同人誌の通販希望の旨をメールで送らせてもらいました。その同人作家さんはもともと通販はされていなかったのですが「せっかくなので通販をさせてください」というありがたい返信を頂き、この6冊をお迎えすることができました。
添えられていたお手紙には「何かと落ち着かない世情ではありますが、私の書いたものがすこしでも心に寄り添うことができたなら幸いです」と書かれていました。
私がもとめた6冊には「なんらかの不具合を抱えた人たちが、その不具合に色々なかたちで折り合いをつけていく」といった話が綴られていました。それらを一片一片読んでいくうちに、心がすこしずつ落ち着いたことを覚えています。
この6冊の他にも、さまざまな作家さんの同人誌を、計18冊購入させて頂きました。どれも熱や心がこもった作品で、それらを読んでいる間は、世の中のざわめきも、自身の不安も、一時忘れることができました。
どうして一般書籍より同人誌が、あの時の私の心に響いたのか。それはたぶん、趣味で創作をされている私と近しい人たちが、売れ筋や受けといった一般書籍で忖度されることに囚われず、どうしても書きたかった物語を書くという情熱をもって紡いだものが、ストレスを抱えて創作ができずにいた心を揺さぶってくれたからだと思っています。
Twitterで見た創作者さんたちの、世の中がどうあっても、物語を紡いでかたちにしたいという熱に触れたかった。私と同じように不調を抱えながら、それでも書き続けてきた創作者さんたちを本当に尊敬します。
感想をTwitterに投稿した時に、作者さんから感謝の言葉を頂けるのも嬉しかった。
そのうち緊急事態宣言も解除され、私も異例の状況を日常のものとして処理できるようになり、すこしずつ創作を進められるようになりました。
どうして創作をするんだろう。長い話を少しずつ削るように書いているうちに、ふと不思議に思いました。もちろん、ただただ創作が好きで楽しくて書いているのが理由の大半なのですが、噛み砕けない現実から逃げるために、のめりこんで書いていた節もあったと思います。あとは、自分なりの答えを探すために書いているのかもしれない、とも思いました。
どうしても腑に落ちないこと。けれど誰に向かって言えばいいのか分からないこと。それらについて考えるとき、どうしても「私」という主語で考えてしまうと、いろんな思いや感情が入ってしまって、純粋に問答できない。濁ってしまう。だから「私」からすこし離れた物語の登場人物に「あなたならどうする?」と投げかけて、一緒に答えを探しているのかもしれないな、と思いました。
創作の理由なんて人それぞれですし、理由なんてない人もいると思います。私自身の考えも、時間を経て変わるかもしれませんが、今の私が創作をする理由のひとつには、考えごとの答え探しが入っています。
創作活動を応援するマシュマロちゃんが、創作活動の相談に「100万字書けば見える世界は変わる」と回答していたのを前にお見かけしました。私は文字で創作をはじめて5年、今まで書いた字数は約50万と、マシュマロちゃんが言う100万字の折り返し地点までたどり着いたところです。それでも一番初めに物語を書いた時と今とでは、見える景色が大きく変わっています。その変化がすごく嬉しいし、楽しい。
これからも悩んだり考えたりしながら、創作が楽しめるといいな。それに、誰かがえがいた熱のこもった物語に触れて、心揺さぶられることが今後もあるのだろうと考えると、その出会いもとても楽しみです。
あとはコロナが落ち着いて、みんなでワイワイ話したり、イベントを思い切り楽しめる日々が、はやく戻るといいな……。前項で書いたとおり、私は来年関東から東北へ引っ越すんですが、また関東に戻ってくる可能性もあるので、そうしたら今度はコミティアなどのイベントで、好きな作家さんに対面で直接「新刊ください!」って言いたいです。あとは自分も出展する側にまわってみたいです。私は出展を諦めないぞ……アイルビーバック……。
総括のつもりで書き始めたこの記事ですが、気付いたら一年分くらい長く書いてしまった気がします。もしここまで読んで下さった方がいらっしゃいましたら、ありがとうございました。お疲れ様でした。淹れたてのエアコーヒーをここに置いときますね。概念だけどきっと美味しいよ。
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